石川由美子税理士事務所のblog

ここは大阪守口市の税理士事務所、石川税理士事務所のブログです。税法の改正や新しい制度などを詳しく解説しています。

今回の更新は今年の九月より改正になる社会保険料についてです。
この改正により9月や10月の給与から差し引く社会保険料の金額が
変わってきますので経営者の方はよく注意してください。


【1】標準報酬月額が改定になります
7月に届出をした「算定基礎届」により、平成27年9月分からの標準報酬月額が
改定になります。

社会保険料は標準報酬月額×保険料率で計算されます。標準報酬月額は基本的に、以下の
時期・届出により決定しますが、今回の改定は、1.の定時決定によるものです。
1.定時決定(毎年改定)
2.取得時決定(入社時)
3.随時改定(報酬額等に著しい変動があった場合)


【2】下記のとおり厚生年金保険料率が変更になります

厚生年金保険料率

平成27年8月分までの料率       平成27年9月分からの料率
全額      折半額         全額      折半額
17.474%    8.737%    →    17.828%    8.914%

参考URL
平成27年9月分(10月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(大阪府)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/shared/hokenryouritu/h27/h270901/27osaka-h2709.pdf



【3】9月分の社会保険料控除のタイミングにご注意ください

① 給与の締日が当月締で、給与の支給日が当月支給の場合
社会保険料を給与から控除するときは、原則として前月分の社会保険料を控除することになっています。
例えば、給与の締日が10月20日で支給日が10月25日の場合、この10月支給分の給与から9月分の社会保険料を控除することで、これを「翌月控除」いいます。

しかし、会社によっては、当月支給分の給与から当月分の社会保険料を控除する場合があります。
例えば、給与の締日が9月20日で9月25日の場合、この9月支給分の給与から9月分の社会保険料を控除することで、これを「当月控除」といいます。

よって、9月分の社会保険料の控除月は以下のとおりになります。
翌月控除」の会社の場合 10月分の給与から控除
当月控除」の会社の場合 9月分の給与から控除


② 給与の締日が当月締で、給与の支給日が翌月支給の場合
この場合は、社会保険料納付の時期との関係により、「当月控除」の会社がほとんどだと思います。
例えば、給与の締日が9月30日で支給日が10月15日の場合、この10月支給分の給与(9月分の給与)から9月分の社会保険料を控除することです。

よって、9月分の給与(10月支給分の給与)から9月分の社会保険料を控除します。

※このように、締日や支給日等により、控除のタイミングが変わりますので、ご注意ください。

※なお、この控除した9月分の社会保険料は、控除のタイミングに関わりなく、会社負担分と合わせて10月末に納付します。


今年の10月以降、国外からの電子書籍の購入や音楽配信に消費税が課税されます。

今回の更新では、国外からのインターネットを通じたサービス提供の普及をうけ、近々改正される役務の提供に係る消費税制度について解説していこうと思います。


1. 背景

 現在、国外からのインターネットを通じた電子書籍・音楽・広告の配信やクラウドサービス等のサービスの提供には、消費税が課税されていないのに対して、同じサービスの提供であっても、国内からのこれらのサービスの提供には消費税が課税されています。なぜなら、現行の制度では「国内において事業者が行った資産の譲渡等(物の販売、貸付、サービスの提供)」に消費税が課税されており、電子書籍等の配信については、国内において行ったかどうかの判定は、その配信を行った事業者の事務所等がどこにあるかで行われていました。

 そこで同一内容のサービスの提供についての国内国外の不公平性をなくし、中立性を確保する観点から、平成27年10月1日以降は、海外からのこれらのサービスの提供に消費税を課税することとされました。

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2. 制度の概要

・対象取引
 今回の改正の対象となるサービスの提供(以下、「電気通信利用役務の提供」といいます)具体的な内容は以下のような取引です。

   ⇛ インターネット等を介して行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像
    ソフトウェア(ゲームなどのアプリを含む)などの配信
   ⇛顧客に、クラウド上のソフトウェアやデータベースなどを利用させるサービス
   ⇛ 顧客に、インターネット等を通じた広告の配信・掲載
   ⇛ インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させる
    サービス(商品の掲載料金等)
   ⇛ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス
   ⇛インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト
    (宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)
   ⇛ インターネットを介して行う英会話教室 など

・取引の内外判定の改正
 これらの「電気通信利用役務の提供」についての、国内取引に該当するかどうかの判定を、提供をする側の事務所等の所在地から、提供を受ける側の住所等の所在地に改正されます。したがって、これらのサービスの利用者の住所や事務所が国内にあれば、国内取引に該当し、消費税を課税されることとなります。
 なお、国内の事業者から受ける「電気通信利用役務の提供」については、これまでと変わらず消費税の課税対象です。

・課税方式の見直し
 本来、消費税は消費者が自ら国に対して税金を納めるものではなく、物を売ったりサービスを提供した事業者(売り手)が消費者(買い手)から物やサービスの値段に上乗せして預かり、この預かった消費税から仕入や経費にかかった消費税を差し引きして、国に納付する課税方式です。
 しかし、これらの「電気通信利用役務の提供」については、その内容により、①事業者向け取引と②それ以外(消費者向け取引)とに区分して、それぞれ以下の方法により、課税方式が見直されます。

① 事業者向け取引についての課税方式(リバースチャージ方式)
  サービスの性質やサービスの提供に係る契約条件等により、そのサービスの提供を受ける者が通常事業者に限られるもの(例:インターネットを介した広告の配信など)を「事業者向け電気通信利用役務の提供」として、この取引にかかる消費税については、本来の課税方式ではなく、サービスの提供を受けた側(買い手)に納税義務を転換(リバース)し、上乗せするはずの消費税部分を売り手に支払わず買い手に留め置く(チャージ)課税方式が採られます。
 具体的には、サービスの値段が10,000円とした場合に、本来の課税方式であれば、消費税8%分を上乗せして10,800円を支払うところ、10,000円のみを国外事業者(売り手)に支払い、800円を買い手が自ら日本国に納付することになります。なお、この800円については、申告する際に仕入税額控除の適用を受けることができ、最終的には国に納める必要はありません。
 なお、経過措置により当分の間は、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度が適用される事業者については、納付をする税額と控除を受ける金額が同額となることもあり、このリバースチャージ方式により申告を行う必要はありません。
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(考え方の参考)
 例えば、課税貨物に係る消費税については輸入者(仕入れを行った者等)が課税貨物に係る消費税額等を輸入時に申告納付するとともに、輸入時に納付した消費税額については、確定申告の際に仕入税額控除を行います。
 リバースチャージ方式は、この輸入時の納税を確定申告の際に同時に行っていると考えると分かりやすいのではないでしょうか。


② 消費者向け取引についての課税方式(国外事業者申告納税方式)
 国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、『事業者向け取引』に該当しないもの(例:電子書籍や音楽の配信)については、本来の課税方式と同様に、サービス提供者(売り手)である国外事業者に申告納税の義務を課す方式となります。
 具体的には、サービスの値段が10,000円とした場合に、本来の課税方式同様、国外事業者(売り手)に消費税8%分として上乗せして10,800円を支払い、国外事業者(売り手)が、日本国に800円の消費税を納めることになります。
 この場合において、サービスの提供を受けた側の国内事業者においては、課税仕入れが発生するのですが、そのサービスの提供者である国外事業者が登録国外事業者(国税庁のHPに掲載されます。http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/cross/touroku.pdf)でなければ、当分の間、仕入税額控除の適用を認められないのでご注意ください。

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前回の更新では消費税を納める方法について解説しましたが、今回はそのなかの簡易課税制度について詳しく解説していこうと思います。

 
簡易課税制度とは、消費税の原則的な計算を求めると、その税額の計算方法・書類の保存等の事務負担が多いため、一定規模(売上5000万円)以下の事業者ついては、それらの事務負担を軽減・簡素化するため、該当事業者の意思で一定の届出を行うことにより、より簡単な事務処理であっても、妥当と考えられる納税額の計算ができる方法として、消費税導入時から規定されている制度です。

*原則・簡易各々の計算方法(クリックで前回の記事に飛びます)

* 原則計算
売上時に預かる消費税から、仕入時に支払う消費税を差し引いた残額を納める方法
* 簡易計算
売上時に預かる消費税から、その消費税に業種ごとに定められているみなし仕入率
を乗じた金額を差し引いた残額を納める方法(二期間強制適用)
*みなし仕入れ率
売上に対する仕入れにつき、概算的な割合として業種ごとに定められている率

しかしながら、財務省において簡易課税制度の適用対象となる規模の事業者における仕入率の実態調査を実施したところ、すべての業種において、現行のみなし仕入率が実際の仕入率を上回っており、中でも「金融業及び保険業」及び「不動産業」については、その乖離が大きいことが判明しました。

この実態調査の結果を踏まえ、平成26年度税制改正において、以下の見直しが行われました。

1.みなし仕入れ率の見直し(平成27年4月1日以後に開始する課税期間から)

                改正前         改正後
①金融業及び保険業      第四種 60%  →  第五種 50%
 *代理手数料など

②不動産業          第五種 50%  →  第六種 40%
 *事業用不動産貸付・仲介など


2.経過措置

指定日(平成26年9月30日)以前に提出したときは、二年間強制適用期間につき、
改正前のみなし仕入率を適用する。


上記により、通常の場合、二年間の強制適用が終了している事業者のうち、個人事業者や12月末決算法人は28年1月1日以後、それ以外の法人は平成27年4月1日以後に開始する課税期間からの変更となります。

従いまして、三月末決算法人から順次適用が始まっており、適用法人については税率変更の上に、さらに、みなし仕入率の変更がなされ、納税額が大きくなる傾向となっておりますので、納税資金の準備など、今まで以上に計画的に検討する必要が高まりそうです。




参考 : 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h24kaisei.pdf

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