前回の更新では消費税を納める方法について解説しましたが、今回はそのなかの簡易課税制度について詳しく解説していこうと思います。

 
簡易課税制度とは、消費税の原則的な計算を求めると、その税額の計算方法・書類の保存等の事務負担が多いため、一定規模(売上5000万円)以下の事業者ついては、それらの事務負担を軽減・簡素化するため、該当事業者の意思で一定の届出を行うことにより、より簡単な事務処理であっても、妥当と考えられる納税額の計算ができる方法として、消費税導入時から規定されている制度です。

*原則・簡易各々の計算方法(クリックで前回の記事に飛びます)

* 原則計算
売上時に預かる消費税から、仕入時に支払う消費税を差し引いた残額を納める方法
* 簡易計算
売上時に預かる消費税から、その消費税に業種ごとに定められているみなし仕入率
を乗じた金額を差し引いた残額を納める方法(二期間強制適用)
*みなし仕入れ率
売上に対する仕入れにつき、概算的な割合として業種ごとに定められている率

しかしながら、財務省において簡易課税制度の適用対象となる規模の事業者における仕入率の実態調査を実施したところ、すべての業種において、現行のみなし仕入率が実際の仕入率を上回っており、中でも「金融業及び保険業」及び「不動産業」については、その乖離が大きいことが判明しました。

この実態調査の結果を踏まえ、平成26年度税制改正において、以下の見直しが行われました。

1.みなし仕入れ率の見直し(平成27年4月1日以後に開始する課税期間から)

                改正前         改正後
①金融業及び保険業      第四種 60%  →  第五種 50%
 *代理手数料など

②不動産業          第五種 50%  →  第六種 40%
 *事業用不動産貸付・仲介など


2.経過措置

指定日(平成26年9月30日)以前に提出したときは、二年間強制適用期間につき、
改正前のみなし仕入率を適用する。


上記により、通常の場合、二年間の強制適用が終了している事業者のうち、個人事業者や12月末決算法人は28年1月1日以後、それ以外の法人は平成27年4月1日以後に開始する課税期間からの変更となります。

従いまして、三月末決算法人から順次適用が始まっており、適用法人については税率変更の上に、さらに、みなし仕入率の変更がなされ、納税額が大きくなる傾向となっておりますので、納税資金の準備など、今まで以上に計画的に検討する必要が高まりそうです。




参考 : 国税庁HP
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/h24kaisei.pdf