小規模事業主の方は、源泉所得税の納付を半年分まとめてできる納期の特例という制度があります。今回の更新はこの制度の内容や必要な手続、注意点を解説します。
1. 納期の特例とは
① 特例の内容
事業主(会社や個人事業主)が給与・賞与・一定の報酬(以下、給与等といいます)から源泉徴収した所得税は、原則としてその支払った日の翌月10日に納付する必要があります。しかし、給与を支払う役員や従業員(以下、従業員等といいます)の人数が常時9人以下の場合には、この制度を使って源泉所得税の納付のタイミングを7月10日(1~6月分)と1月20日(7~12月分)の年2回にまとめることができ、集計作業や銀行へ行く手間を省くことができます。
② 適用対象となる源泉所得税
この特例の適用対象となる源泉所得税は以下のものに限られます。
(ア) 従業員等への給与・賞与・退職金に関するもの
(イ) 弁護士・公認会計士・司法書士・税理士・弁理士など特定の資格を持つ人へ支払う報酬に関するもの
※原稿料・デザインの報酬・保険外交員へ支払う報酬に関するものについては、特例の適用を受けている事業所であっても、原則通りその支払った日の翌月10日までに納付(毎月納付)することが必要です。
2. 必要な手続き
この特例の適用を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受ける必要があります。提出先は、給与等の支払を行う事業所の所在地を管轄する税務署長です。この手続きは“申請”なので、提出先の税務署長から“承認”を受ける必要がありますが、過去に滞納があるなどの事情がなければ、承認や却下の通知はほとんど来ることがないようです。通知が来ない場合には提出した日の翌月末日に承認があったものとしてこの特例の適用を受けることになります。
この特例の適用開始時期は、承認があった月からとなりますので、提出した日の翌月以降に支払う給与等については、7月10日か1月20日が納付期限となりますが、その申請書を提出した月に支払う給与等については、その翌月の10日が納付期限となりますので、こちらの納付を忘れないように注意しましょう。
例:9月25日に申請書を提出した場合(10月31日に承認を受けたものとなります)
9月分 10月~12月分
↓ ↓
10月10日に納付 翌年1月20日に納付
3. この特例を受けない方がいい場合
この特例の適用を受けた後は、半年分の源泉所得税をまとめて納付することになりますので、毎月の資金繰りや集計作業の回数は減り、一見ラクになります。その半面7月と1月に資金流出と集計作業が半年分集中することになりますので、この時期が忙しい事業主の方などはあえてこの特例を受けずに、通常通り毎月納付をする方がいい場合もあります。
4. 従業員等が10人以上になったら
従業員等が常時10人以上となる場合には、この特例の適用を受けることができなくなります。この場合には「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を特例の申請をした税務署に提出します。この手続きは“届出”ですので提出するだけでよく、“承認”を受ける必要はありません。
また、この場合には提出した月から特例が不適用となりますので、提出日の月までの源泉所得税を提出日の翌月の10日に納付することになります。
例:9月25日に届出書を提出した場合
7月~9月分 10月分
↓ ↓
10月10日に納付 11月10日に納付
5. 住民税の特別徴収にも同様の制度があります。
源泉所得税と同様に、住民税の特別徴収分についても、半年分をまとめて支払う納期の特例の制度があります。適用要件も源泉所得税と同じなので、合わせて検討してみてはいかがでしょうか。ただし、源泉所得税が1~6月分と7~12月分に分けるのに対して、住民税は、6~11月分(12月10日納付)と12~5月分(6月10日納付)に分けることとなり、期間と納付期限がひと月ずつズレますので注意が必要です。
※住民税の特別徴収とは、事業主が従業員等に支払う毎月の給与から住民税の1カ月分を預かり、その従業員等に代わって各市町村に納付する方法をいいます。
1. 納期の特例とは
① 特例の内容
事業主(会社や個人事業主)が給与・賞与・一定の報酬(以下、給与等といいます)から源泉徴収した所得税は、原則としてその支払った日の翌月10日に納付する必要があります。しかし、給与を支払う役員や従業員(以下、従業員等といいます)の人数が常時9人以下の場合には、この制度を使って源泉所得税の納付のタイミングを7月10日(1~6月分)と1月20日(7~12月分)の年2回にまとめることができ、集計作業や銀行へ行く手間を省くことができます。
② 適用対象となる源泉所得税
この特例の適用対象となる源泉所得税は以下のものに限られます。
(ア) 従業員等への給与・賞与・退職金に関するもの
(イ) 弁護士・公認会計士・司法書士・税理士・弁理士など特定の資格を持つ人へ支払う報酬に関するもの
※原稿料・デザインの報酬・保険外交員へ支払う報酬に関するものについては、特例の適用を受けている事業所であっても、原則通りその支払った日の翌月10日までに納付(毎月納付)することが必要です。
2. 必要な手続き
この特例の適用を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受ける必要があります。提出先は、給与等の支払を行う事業所の所在地を管轄する税務署長です。この手続きは“申請”なので、提出先の税務署長から“承認”を受ける必要がありますが、過去に滞納があるなどの事情がなければ、承認や却下の通知はほとんど来ることがないようです。通知が来ない場合には提出した日の翌月末日に承認があったものとしてこの特例の適用を受けることになります。
この特例の適用開始時期は、承認があった月からとなりますので、提出した日の翌月以降に支払う給与等については、7月10日か1月20日が納付期限となりますが、その申請書を提出した月に支払う給与等については、その翌月の10日が納付期限となりますので、こちらの納付を忘れないように注意しましょう。
例:9月25日に申請書を提出した場合(10月31日に承認を受けたものとなります)
9月分 10月~12月分
↓ ↓
10月10日に納付 翌年1月20日に納付
3. この特例を受けない方がいい場合
この特例の適用を受けた後は、半年分の源泉所得税をまとめて納付することになりますので、毎月の資金繰りや集計作業の回数は減り、一見ラクになります。その半面7月と1月に資金流出と集計作業が半年分集中することになりますので、この時期が忙しい事業主の方などはあえてこの特例を受けずに、通常通り毎月納付をする方がいい場合もあります。
4. 従業員等が10人以上になったら
従業員等が常時10人以上となる場合には、この特例の適用を受けることができなくなります。この場合には「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を特例の申請をした税務署に提出します。この手続きは“届出”ですので提出するだけでよく、“承認”を受ける必要はありません。
また、この場合には提出した月から特例が不適用となりますので、提出日の月までの源泉所得税を提出日の翌月の10日に納付することになります。
例:9月25日に届出書を提出した場合
7月~9月分 10月分
↓ ↓
10月10日に納付 11月10日に納付
5. 住民税の特別徴収にも同様の制度があります。
源泉所得税と同様に、住民税の特別徴収分についても、半年分をまとめて支払う納期の特例の制度があります。適用要件も源泉所得税と同じなので、合わせて検討してみてはいかがでしょうか。ただし、源泉所得税が1~6月分と7~12月分に分けるのに対して、住民税は、6~11月分(12月10日納付)と12~5月分(6月10日納付)に分けることとなり、期間と納付期限がひと月ずつズレますので注意が必要です。
※住民税の特別徴収とは、事業主が従業員等に支払う毎月の給与から住民税の1カ月分を預かり、その従業員等に代わって各市町村に納付する方法をいいます。