1.背景
 地方活性化のため、都市部と地方の財源格差を平準化することを目的として、平成26年の税制改正により地方法人税が創設されておりました。
これにより、地方税である法人住民税のうち法人税割等を4.4%ダウンさせ、17.3%→12.9%(大阪の場合)とし、別途、この4.4%分を地方法人税として国が徴収し、地方交付税として各地方自治体へ配分されることとなりました。

*地方交付税とは?
 本来、地方の税収入とすべきであるが、団体間の財源の不均衡を調整し、すべての地方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保証する見地から、国税として国が代わって徴収し、一定の合理的な基準によって再配分されるもので、一般財源(使途の制限がないということ)という性格をもつものです。
 また、地方交付税の財源は国税のうち、法人税のほか、所得税・消費税・酒税・タバコ税などが該当します。 *総務省HP参照
この改正はあくまでも地方財源の平準化を目的としているため、増税ということではなく、基本的には新たな税負担は生じさせるものではありません。

 
2.内容
  ① 適用開始時期
    平成26年10月1日以降開始事業年度から
  ② 税率
    課税標準法人税額×4.4%

 
*留意点 課税標準法人税額が生じない場合であっても、法人税申告書別表一の基準法人税額・地方法人税額・所得地方法人税額などの各欄に0と記載の上、提出する必要があります。

3.まとめ
  以上により、地方法人税の申告は一年決算法人の場合であれば9月決算の法人から順次適用開始となっております。したがいまして、申告作業まで自社で完結なさっている法人様は、申告書に記載するのを忘れないように十分注意が必要となります


4. 最近の動向
  平成27年11月16日、地方法人課税をめぐる喫緊の課題への対応として、地方自治確立を目指す東京都税制調査会の答申において、地方法人税及び地方法人特別税は、地方分権に逆行するため速やかに廃止し、地方税として復元すべきなどとして検討されていたようです。
これは、現在東京都では、類を見ない速さで高齢化が進んでおり、将来、莫大な社会保障関係の財政需要を抱えているということを考慮されたものだそうです。
 さらに、企業版ふるさと納税の導入の要望などもあり、毎年、地方税財政制度をめぐる状況については大きな動きがあるため、これからも注視していく必要がありそうです。